【行ってみた】驚きの明治工芸 東京芸術大学大学博物館

どんな展示?

 江戸幕府の統治により、安定した江戸時代の日本ではいわゆる「職人の技」が継承、洗練されていたが、江戸時代の終わり、そして明治時代になると、職人は大名や幕府の後ろ盾を失ってしまう。
 しかし、江戸時代の終わりや明治時代になると日本の職人技によってつくられた工芸品は、重要な対外輸出品となったこと、また明治政府が職人を支援したことから、職人たちは、自らの技を駆使し、緻密で写実的な工芸品を制作するようになった。
 そして、もう一つ驚くべきことはそのような工芸品が一人の台湾人によって収集された、ということだ。
 今回の展示は、写実的、緻密な表現が特徴の明治工芸のコレクション、「宋培安コレクション」から、100点以上の作品が一挙展示される展示会だ。

アクセス、入場料、混雑具合は?

上野駅から少し歩いたところにある、東京芸術大学大学博物館で展示が行われています。
入場料は一般 1300円、高校生・大学生 800円です。
平日の昼間だったので、年配の方が多い印象で、特に混雑しているわけではなく、ゆっくりと作品を見ることができます。
写真撮影可(一部を除く)

内容と感想

 私は、もともと、超絶技巧系の作品や、細密、写実系の作品が大好きな人間で、千葉県のホキ美術館の超細密描写とか、美術手帖の超絶技巧特集は大好きです。(もともと、模型とかも好きだしね)
 で、そんな中で、江戸時代や明治時代の工芸作品には、とんでもないものがある、というので、見に行ってきたわけです。
 今回の展示の目玉、といえば、全長3mの自在龍を中心とした、「自在シリーズ」ともいうべき置物の数々でしょう。
 この「自在シリーズ」(私が命名しました…)は、もともと鎧を作っていた職人が、鎧の関節部分を可動させる技術や金属加工技術をもとにして、制作した、というような作品です。(て、美術手帖に書いてあった気がする)具体的には、金属の板を加工し、繋げることで、蛇やエビ、魚、鳥や昆虫などの動物を形態を写実的に表現するだけでなく、その動きまでも! 実物のように再現してしまった、と言う作品です。自在蛇、トイう蛇の置物は、実際に動かす様子が動画として、放映されていましたが、本物のように、とぐろを巻かせることもでき、舌まで動かせる徹底ぶり。
 蛇の鱗一周分が一つの部品になっており、鎖のようにそれを次々につなげていくことで蛇の動きを再現しているそうです。さらに、昆虫の足は蝶番のような構造で動かせるとか (昆虫の大きさ、ほぼ実物大なんですけど…)
 そのほかにも、どう見ても竹製の煙管筒なのに、実は紙でできていたり、タバコに箱ぐらいのサイズに、胡蝶の夢、の彫刻がしてあったりと、江戸時代から、明治時代あたりの職人技の集大成を見ることができます。
 確か、ペリーだったかその界隈の人物が、江戸時代の日本を見て、「蒸気機関なしに到達しうる最高の文化と技術力」と評したそうですが、そう言いたくなるのも納得の展示でした。