暗殺者が出て殺す! ジョンウィック3 パラベラム (ネタバレあり)

どんな映画?

総評

 ジョン・ウィックシリーズが好きなら、是非みるべし。前作「ジョン・ウィック2」、前々作「ジョン・ウィック」は見ている前提で話が進んでいるので、しっかり予習しましょう。前回までに比べてアクションの感じが大きく変わっており、笑えるシーンも増えています。

あらすじ

 一言で言えば、「世界中の暗殺者から狙われることになったジョン・ウィックが敵を返り討ちにしまくる」です。スッキリしていていいですね。

 前作、ジョン・ウィック2の直後。殺しをしてはいけない聖域「コンチネンタルホテル」内でイタリアマフィアのボスを殺害したことにより「excommunicado(破門)」処分となった伝説の殺し屋ジョン・ウィック


John Wick: Chapter 2 (2017) - Rule Breaker Scene (10/10) | Movieclips

 コンチネンタル・ニューヨークの支配人ウィンストンの好意により、執行まで1時間の猶予を与えられることになりました。

 さて、そんなジョンは犬をホテルに預けて、ニューヨーク公共図書館へ。本の中から金貨と十字架、殺し屋にとって絶対の「血の契約」のメダルを取り出します。

 ところで、この図書館受付の人、ドラマ「ブラックリスト」のミスター・キャプラン役ではないでしょうか。もうニューヨークの人口の半分が殺し屋と聞いても驚きませんよ。

 と、ここに大男が。(当然殺し屋)1400万ドルというジョン・ウィック殺しの賞金欲しさに、ジョンに襲いかかります。巨漢に苦戦しつつ、本でその男を殺すジョン。しかし肩を刺されて、怪我をしてしまいます。


ジョン・ウィックが本で殺し屋と戦う<本・フー>シーンか解禁/映画『ジョン・ウィック:パラベラム』 本編映像

もう、「本・フー」とか「馬・フー」とか宣伝用の〇〇フーガ増えすぎてわけわかりません。ドクター・フーとかもそのうち出てくるんじゃね?

 彼は、闇医者の元へ。しかし治療が半分ぐらい終わったところで、破門の時刻になってしまいました。コンチネンタル関連のサービスは全て受けられなくなり、残りは自力で治療する羽目に。

 街中を逃げるジョンは早速、アジア系の暗殺者に見つかり骨董品店へ逃げ込みます。当然、殺し屋の街、ニューヨークの骨董品店には武器がたくさん。予告編のナイフ投げシーンはここで出てきます。(ワザマエ!)

 一方のコンチネンタルホテルでは、マフィア組織のトップ「主席連合」から、裁定人を名乗る女性がウィンストンの元を訪れます。

 前作のラスト、イタリアンマフィアのボスが主席連合入りした直後に殺されたこと、ウィンストンがそれを止めようとせず、また、その犯人ジョン・ウィックを逃して1時間の猶予を与えたことが問題になったようです。

 かくして、世界中の殺し屋に狙われることになったジョンは逃げ延びられるのか…

感想(とネタバレ付きのあらすじ)

 前作に比べてナイフ系アクションが大幅に増えております。あと、怪しい日本語も盛りだくさん。

 まさか、前作のラスト直後、をやるとは思わなかったです。チャプター2を見た後は流石に前日譚やるんだろうと思ったんですけどね。

 そして、良くも悪くも、続編への繋ぎの一作という感じもします。(当然ジョン・ウィック4があるわけです。)

 そして、これまでに比べて笑える場面も増えています。

一つは序盤のナイフ投げシーン。お互いに格闘し、間合いを図った途端、「あ、そういえば周りに武器いっぱいあんじゃん」と気づいて慌ててナイフを取り出したり。

序盤(本当にこの映画は序盤・中盤・終盤と分けにくい映画だ)

 ジョンはニューヨーク市内の劇場へ。バレエダンサーがいますが刺青が入っていてもうカタギでないことは一目瞭然。裏では格闘技(ロシアの格闘技サンボかな?)を練習しており、ジョンもここにいたらしいです。

 そんなロシア系マフィア「ルスカ・ロマ」の女ボスにジョルダーニと呼ばれるジョン。おそらく、ジョンはここで育てられ、殺し屋としての訓練を受けたのでしょう。ジョンは「チケット」(先ほど図書館で手に入れた十字架)を見せ、モロッコへの船旅を申請します。

中盤(モロッコ編)

 モロッコを訪れると当然暗殺者が、しかし、モロッコ・コンチネンタルの支配人がジョンを殺さないように、という指示を出していたようです。

 モロッコ・コンチネンタルの支配人はソフィア(ハル・ベリー)。ジョンはソフィアと交わした血の契約をみせ、コンチネンタルの前支配人に合わせるように頼みます。

 当然、破門されたので、ジョンは即殺さなければならないわけですが、ソフィアの娘を逃がしてくれた借りがあるとことで助けてもらえます。

 ここ、娘と会うのを諦めてモロッコ・コンチネンタルの支配人として生きているソフィアの存在はのちの、「どんな人間として死ぬか」というテーマに関わっているんですね。

 話し合いに行くだけだし、というジョンに対して話し合いで終わるわけないやん。と武器や犬の準備をするソフィア。

 ジョンは前支配人に主席連合のトップ「首長」の居場所を尋ねます。まあ、得られた情報は砂漠をめっちゃ歩くと向こうから見つけてくれる、というふわっとしたものでしたが…

 対価として、ソフィアの犬を求める前支配人。
「犬はあげられない」→「では殺すか」(あっ…察し)

当然、銃撃戦になります。犬を使ったスピーディーなアクションが見どころ。まあ、なんやかんや首長と会ったジョンは、破門を取り消す代わりにウィンストンを殺し、主席連合に仕える暗殺者として残りの人生を生きることを了承します。


John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) - Escaping Casablanca Scene (4/12) | Movieclips

ソフィア「だってイヌ撃ったし」
ジョン「気持ちはわかる」
私「でしょうね」

中盤(ニューヨーク編)

 一方のニューヨークでは、裁定人が寿司屋を訪れます。

 寿司屋「平家」って… さらに、きゃりーぱみゅぱみゅのニンジャリバンバンも流れていて怪しい日本感MAXです。

 寿司屋の大将ハゲ「ゼロ」はニンジャ軍団のボスでもあります。彼とその手下に仕事を言い渡す裁定人、その内容とは…

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寿司マスターでニンジャ

 殺し屋の殺害でした。ホームレスマフィアを次々を斬り殺し、裁定人はジョンを助けたホームレスマフィアのボス、ボワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)の元を訪れます。前作でジョンにキンバー1911(拳銃)と弾を7発渡したことが問題とされたようです。7発渡したので、ということで7回全身を切られるボワリーキング。
 (正確にいうと、このあたりはモロッコ編と同時平行で語られています)

中盤(ニューヨーク編)

 ウィンストン殺害のためにニューヨークに戻ってきたジョン。早速、殺し屋ニンジャに襲われます。


John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) - Motorcycle Fight Scene (7/12) | Movieclips

コンチネンタル前までやってきたジョンはゼロにとどめを刺されるか、というところでコンチネンタルの執事が殺しをやめさせます。

 ジョンの手が入口の階段に触れているため「コンチネンタル内で殺しをしてはいけない」というルールが適応されたようです。(ちょっと触ってるだけでもいいんだ)

 殺しをやめる二人。

そして、ここが「最大の笑いどころ」です。
ソファに座るジョンと、その隣に間を空けずに座るゼロ。(かわいい)「俺、あんたに会いたかったんだよ!」的なことを言い始めます。

 これまで寡黙な暗殺者キャラだったゼロが急に可愛くなります。笑えます。見て。

終盤(最後の戦闘)

 これまで長く付き合いのあるウィンストン暗殺はしないことにしたジョン。コンチネンタルホテルは「聖域解除」を言い渡され、殺し屋は全員外へ。
 ジョンとウィンストン、執事と、彼のわずかな部下は主席連合の最精鋭部隊との戦闘に望みます。

 ここから先は待ちに待った銃撃アクション、刃物アクションの連続です。中盤、微妙にアクションシーンがない部分があったために大量に武器を用意するシーンからすでに盛り上がれます。

 主席連合の最精鋭部隊の強さとは…

「防御力と火力でゴリ押し」という単純ながら強力なものでした。スーツのおっさんではなく、黒ずくめの特殊部隊仕様。

 9mm拳銃弾を何発受けても平然と反撃してきます。もっとも、ジョンのスーツが銃弾を完璧に防ぐ防弾素材ですから、精鋭部隊も同じようなのを使っているんでしょう。

 武器をより強力なものへ持ち替え、どうにか切り抜け、ゼロとの決着もつけたところでパーレイの申し込みが。

 パーレイってのは一時休戦と協議のこと。パイレーツオブカリビアンでも出てきたあれです。内容を一言でまとめると再び主席連合に忠誠を誓うなら許す、というもの。

 ウィンストンはそれを受け入れ、ジョンに発砲、ジョンは建物から転落してしまいます。(あからさまに目配せしてますが)

 無事、ホテルは聖域に復活。一方、ジョンはホームレスマフィアのボス、ボワリーキングの元へ運ばれます。7回も切りつけられて怒り心頭のキング。独自路線をあゆむ彼にとって、主席連合は明確な敵となったのでした。

感想

 今回のテーマは「どのように死ぬか」

主席連合のトップと会うことに成功したジョンは「主席連合の暗殺者としてウィンストンを殺し、破門を解除される」か「世界中の敵と戦い続けるか」を選ばされます。

 一度、引退を成し遂げたものの殺し屋の世界に「もうやめた」は通用しないのです。残りの人生を主席連合に仕えて殺し屋として死ぬか、妻を愛した男として死ぬかの2択。

 果たして、ジョンは、またウィンストンはどちらを選ぶのでしょう。

 ところで、アクション・映像面では車と酒が減り、ナイフが大幅に増えました。なので、ガンアクション面では前2作の方が楽しめます。

 ナイフ、日本刀? カランビットとナイフ系の武器は充実しています。

また、アクションが繰り広げられる舞台も1作目のレッド・サークルクラブ(プール)や2作目の美術館シーンを意識させるところがあったのも面白かったです。

 水中で急減速し1メートルも飛ばない銃弾の描写は新鮮。(実際、水の抵抗が大きくてほとんど飛ばないそうだが)

 ストーリー面でも少し複雑になったかな? という印象です。これまでのように、殺すべきラスボス(マフィアのトップ)が主席連合という、顔のない組織になっているからだと思います。

 まあ、続編の存在は決定的と思いますので、どうなるか気になりますね。