読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【ネタバレ・感想】映画「プラトーン」

映画

どんな映画?

 延々と続くゲリラ戦、高温多湿な環境で消耗する部隊、部隊内部での争いや、民間人殺害、レイプなど、ベトナム戦争に参加した兵士は何を見たのか?
 実際に従軍したオリバー・ストーン監督が、脚本、監督し、ベトナム戦争の世界を描く。


プラトーン Platoon 1986

あらすじ

 ゲリラ戦が続くベトナムを「この目で見るため」に主人公クリス・テイラーは大学を中退、一兵卒としてベトナム戦争に参加する。しかし、ベトナムの湿度と温度、そして、いつ来るかもわからずまた、終わりも見えないベトコンの攻撃にさらされて部隊は消耗していた。部隊の内部では黒人兵と白人兵の間に微妙な空気が流れ、バーンズ曹長、エリアス軍曹など、歴戦の下士官兵の間では戦闘に出す兵士の割り振りなどでいさかいが起こり、さらに新任の中尉は「ベトナムで生きていけそうにない奴」と下士官の間でバカにされ、実質的に部隊を仕切るのはバーンズ曹長であった。
 そして、その部隊間の軋轢はベトコンに協力したのではないか、と疑われた村の扱いをめぐる争いで噴出することになる。
 ベトコンに無理やり協力させられ、武器や食料を隠すように言われた、というベトナム人村長に対して、ベトコンにより同じ部隊の兵士が首を切られ、殺されたことへの復讐を行おうとするバーンズは村人の銃殺を実行しようとし、それに反対するエリアスと対立し、最終的に殴り合いへと発展する。二人は中尉によって仲裁され、村は焼き払われることになるが、バーンズとエリアスの間の関係はさらに悪化する。
 ベトコンとの戦闘の最中に、相手の側面を攻撃するため移動したクリスとエリアス達、エリアスはさらに先へと進み、ベトコンへ攻撃を行う。その時、部隊は退却を決定、クリス達に退却を伝えたバーンズは、エリアスを探しにベトナムのジャングルの中に消える。ジャングルの中で出会う、バーンズとエリアス、バーンズはライフル構え、エリアスを射殺、クリスたちと合流したバーンズは「エリアスはベトコンに殺された」と伝える。
 そして、クリスたちはヘリコプターに乗って退却するが、地上で多数のベトコンに追われて逃げるエリアスを発見する。エリアスは両腕を高く上げ、天を仰ぎながら戦死、一方、クリスはバーンズがエリアスを撃ったのではないか、と疑いを持つ。クリスがバーンズへの疑いを深くする中、ベトコンとの大規模な夜間戦闘が起きる。

感想

 部隊内での仲間割れ、信頼されない新米将校、虐殺やレイプまで、プラトーンには、いわゆる「かっこいい米軍」は登場しない。しかも、登場人物のキャラクターは、オリバー・ストーン監督が実際に所属していた2つの中隊に実際にいた人物から創作したいるのだという。
 ベトナム戦争では、(映画「フルメタル・ジャケット」でも描かれていたように)訓練を終えた兵士は、バラバラに部隊へと配属される。帰国までの日数を指折りかぞえる古参兵は、戦闘に出て負傷や戦死したくない、かといって、新兵は戦闘慣れしておらず使えない、部隊内で出撃する兵士の割り当てでいさかいが起こり、さらにベトナム戦争時に大量に育成された将校は頼りにならず、実質的に部隊を仕切るのは歴戦のバーンズ曹長
 見えない敵に、雨、虫や蛇、高温多湿、そのようなベトナム戦争下での兵士たちの生活、戦闘がとてもリアルに描写されている。
 この映画の登場人物には「善人」と「悪役」の区別、というものはない。誰もが時には「善人」であり、時には「悪役」となりうる。
 黒人兵が喉を切られた後に、クリスたちの部隊は、ベトナムの村に入る場面。クリスはベトナム人青年に向けて「なぜ笑う? ほら、踊ってみろよ」などと叫びながら銃を乱射する。しかし、そんなクリスは一方で、レイプされそうになっていた女性を助け、「お前たちはケダモノだ」と、他の兵士を罵倒する。ついさっきまで、銃を乱射していた人物が、一方では、レイプされそうになっていた女性を助ける。村人の銃殺を提案するなど、冷酷さが目立つバーンズも、味方の死に憤り、また、味方からは「不死身だ」と頼りにされる「良き兵士」である。
 この村のシーンの後、バーンズはエリアスを銃で撃つ。ヘリで帰還する途中、ベトコンに追われて、必死に逃げるエリアスの走りかた、これが印象に残った。バーンズに撃たれ、さらに多数のベトコンに追われ、で、有名なジャケットの両手を上げて死ぬシーン、につながっていく。
 この後、基地に帰ったクリスは「バーンズがエリアスを撃ったのでは」と疑う。そこに、酒を浴びるように飲むバーンズ。どれだけ確執があったとしても、エリアスを殺したことは、ただ忘れてしまえるようなことではなかったのか。
 そして、最後の攻撃の後、クリスは銃を手に取り、戦闘で負傷したバーンズを射殺する。戦場で二回負傷したため、帰国することになるクリス。
「そして、すべてを葬り去る敵の大夜襲が小隊に、そしてクリスに迫る…。」これはwikipediaや他のストーリー紹介でも出てくる文句だけれど、クリスが戦場で見たこと、そして、行ったことは「すべてを葬り去る敵の大夜襲」で葬り去られることはなかった。この後の彼は、数日後には到着するであろうアメリカで、どのように生きるのか?
 全体的にまとまらず、脈絡もない感想だけれども、正義も悪もなく、「反戦」を全面に押し出すこともなく、ただベトナム戦争で起きたこと、を描いた映画の感想としては適切なのかな?