【行ってみた】ルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」

 先日、東京、六本木の森アーツセンターギャラリーにて開催されていた、ルーブル美術館特別展「ルーブルNo.9 ~漫画、9番目の芸術という展覧会に行ってきました。


混み具合は?

 実際の混雑具合は、そうでもない。5分待ち、とのことだったが、わりとスムーズに入れました。とても混んでいるように見えたけれど、同時に「ジブリ展」と「宇宙展」の二つが開催されていたからのようだ。
 ちょうど、12時頃から入場したけれど、館内も、「ある程度は人がいる」ぐらいの混み具合。人がいっぱいいて困った、みたいなことはなかった。

どんな内容?

 フランスのルーブル美術館が、「ルーブルBDプロジェクト」として、ルーブル美術館を題材にした漫画の制作を、有名な漫画家に依頼する。
 テーマは「ルーブル美術館を題材にすること」、フランスの漫画家だけでなく、日本の荒木飛呂彦氏など、合計16名がルーブル美術館を題材とした漫画を制作する。
 この展覧会は、そうして制作された漫画を元にして、「漫画」という視点でルーブル美術館を見る、という試みである。
 展示内容は、実際に作中に登場しているルーブル美術館の見どころ、例えば、赤の間や、ガラスのピラミッド、ミケ像などを紹介する第1章、ルーブル美術館の裏の顔、に当たる、倉庫や作品にまつわるエピソードなどに重点を当てた第2章、時代を超えるルーブルの魅力を漫画家たちの想像力で描く第3章、の合計3個のゾーンに分かれている。
 漫画を通して、ルーブル美術館の魅力を再発見する展示であり、実際に所蔵されている油絵や彫刻が来日している、という展示ではないのでご注意を。

感想

 フランスには、「芸術」として、これまで8個の分野がある、とされていた。
それは、「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学」「映画」「演劇」「舞踏」の8個であるそうだ。
 そして、9番目の芸術、として「漫画」というものが新たに加えられようとしているそうだ。
 「漫画」と言っても、より正確に言えば、「バンド・デシネ (BD)」と呼ばれる漫画であり、日本発祥の「Manga」「Comic」や、いわゆる「アメコミ」とは少し毛色の違うもののことを指している。
 その特徴は、芸術性が高いこと、にある。日本の漫画は、(特に、雑誌に連載されているものは)基本的には白黒、各コマ一つ一つの書き込み、よりも、一冊のストーリーを楽しませることを目的としたものが多い。また、雑誌連載の作品は、制作期間が短く、アシスタントを使う、など、エンターテイメント、としての側面が強いものが多い。
 一方、フランス式の漫画「バンド・デシネ」(以下BD)は、基本的にフルカラーで、一コマ一コマ、絵としても楽しめるように書かれているほか、紙質も高級紙に印刷されていて、本も大型、制作に時間がかかり、一年で一冊のみの刊行になることも多い。
 有名な物としては、「タンタンの冒険」シリーズのようなものを想定してくれればいい。(ル・グラン・デュークとかも)
 まあ、漫画の表現としては、どちらも一長一短あって、物語のスピード感、スクリーントーンや、多彩な吹き出しを使い、ストーリーのスピード感などを重視するエンターテイメント、として漫画を捉えているか、一コマ一コマを細かく書き込み、「芸術」という側面に重点を置いているか、という違いがあるわけです。
 で、そんなBDが展示されている本展、あえて残念な点を挙げるとすれば、漫画を全て読めないところ。スペース的に無理があるのは理解できるけれど、せっかくなら制作された作品の一部だけでなく、全て読みたかった。(できれば座って)
 あと、一部作品には、セリフの翻訳はあるけど、そのページの絵がない、というのがあって、ちと混乱しましたな。
 フランスの漫画、ルーブル美術館について知るにはいい展示だっただけに、全部読みたい欲、もしくは実際に出版された形式で読みたい欲が出る展示内容でありました。
 2016年9月25日まで、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されています。
(HPはこちら:ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~ |Manga-9Art)