ミッドナイト・ミートトレイン 真夜中の人肉列車 著:クライヴ・バーカー
どんな本?
表紙と題名のインパクトが強烈なこの本は、クライヴ・バーカーによるホラー短編集「血の本」シリーズの1冊です。表題作「ミッドナイト・ミートトレイン」を含む5作品が収録されています。
内容と感想は?
感想は、ものすごく怖いホラーや読んでられないほどのグロ・スプラッターというよりも、不条理感・意味不明感のある作品が多い、というものでした。
スプラッターやグロ描写が苦手な人でも読めます。
5作品のうち、特に面白かったのは2作目の「下級悪魔とジャック」そして、5作目の「丘に、町が」の2つ。
下級悪魔(地獄大学卒)vs 鈍感男:下級悪魔のジャック
魔王庁の命令で、ジャック・ポロという男につきまとうように命令された下級悪魔。ジャックはキュウリの輸入販売をする平凡な男、そんな彼に付きまとう命令に疑問を抱きながら、下級悪魔は彼を発狂させる、または廃人同様にするために様々な工作を行います。
鍵を開けられないように妨害したり、ランプを揺らしたり、彼につきまとってシャワーで卑猥な言葉を浴びせたり…
「これが一番効き目がある、と悪魔たちは地獄大学で教わったのだ」とのことですが…
ショボい… そして、地獄大学って…
怖い、というより完全に笑えます。
しかし、ジャックは、何があっても(妻が浮気をしたときも)ケセラセラと一切動じない「超鈍感男」なのです。
そんな彼を狂わせようと頑張る下級悪魔、とここまではコントと言っても良いですが、実はジャックが超鈍感を貫くのは「ある理由」があって…
と続いていきます。
怖いか? というと怖くないですが、とても面白い短編です。
壮大に意味がわからない:丘に、町が
旅行中のゲイカップルが、男も女も、ありとあらゆる人が死んでいる、という大惨事に遭遇します。
お揃いの服を着て、互いにロープやベルトで体をつなげた大勢の人間たち。
カップルは知るよしもありませんでしたが、近くの二つの町、ポポラックとポジュエヴォの住人がその体を使って巨人を作り、対決していたのです。
???
まあ、そうゆうことです。とにかく壮大ですが、さっぱり意味がわかりません。
子供が巨人の歯となり、大男が巨人の足となり、疲労や重さに耐えきれず次々とその構成要素(住人)が死にながらも動き続ける巨人。
この意味のわからなさと巨人のインパクトが強烈な短編です。