【行ってみた】開館30周年記念特別展「昭和レトロ家電-増田健一コレクション-」 足立区立郷土博物館

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どんな展示?

 戦後の復興から、三種の神器、と呼ばれた「白黒テレビ」「冷蔵庫」「洗濯機」が売られ始めた昭和30年代。
 足立区立郷土博物館の開館30周年を記念して「家電」が一般家庭に普及し始めた頃のレトロ家電を中心とする、昭和家電コレクター増田健一氏のコレクションが展示される。

アクセス、混み具合は?

 JR亀有駅、または千代田線亀有駅からバスで「足立郷土博物館」で下車すると近いが、亀有駅から歩いても行ける。少し遠めだが、緑道もあり平坦でまっすぐな道なので、歩いても楽しい。
 訪れたのが休日だったため、ある程度人がいた。年配の方が多めで、実際にその家電が売られていた時代を過ごした人も多そうだった。
 休館日などは、下記の公式サイトを参照してください。

内容と感想

 日本における家電黎明期であった昭和30年代頃の家電が、その当時の時代背景を反映したり、便利な生活を送れるよう試行錯誤を繰り返したりしていた様子がよく分かる。
 ダイヤルが前後二方向についていて(! )向かい合わせに並べたオフィスの机の真ん中に置いておけば、電話機の方向を変えることなく二人が電話を使うことができる、「ボースフォン」や、忙しい朝に3つの料理が同時にできる? 「スナック3」など、思考錯誤の末に珍家電としか言えなくなった異形の電化製品(当時の人は大真面目に作ったのだけれども…)や、スプートニク打ち上げなど「宇宙ブーム」に便乗して作られた、ロケット型ラジオや人工衛星ぽい形の家電など、黎明期の試行錯誤ならではの家電も。
 さらに、「電化ブーム」に乗っかって売られた「電気米研ぎ器」(研ぐだけだぞ、米炊けないのだぞ)や「電気カン切り」など、まさに進化のどん詰まり、カンブリア大爆発的家電製品の数々で、見ているだけでも面白い。
 また、最初期は「機能するだけですごかった」家電の数々が、「デザイン」を意識して、花をモチーフにしたり、カラーバリエーションを増やしたり、人工衛星型(笑)だったり、蒔絵をつけたり(笑)と、日本の工業デザインの始まりを見ることもできるだろう。(だが、プラスチック感全開の本体に蒔絵風の柄はどうかと思うぞ)
 今回展示される増田氏のコレクションの中には、当時の宣伝ポスターや石鹸、歯磨き粉のような生活雑貨などもあり、「タライ洗濯は主婦の健康と美の大敵」や「ラジオは一人2台時代」のように、「おおらかな昔」らしい宣伝文を見ることができる。(一人2台時代ってなんだよ)
 もちろん当時の家電はたとえ大ヒット商品で会っても現代の家電のように洗練されたデザインや機能があるものは少なく、また、大多数は、現代人から見れば「笑えた」という感想の出てきそうな形や機能を持つ製品、「ついにこの時代が来た」と宣伝され、秒速で消えていった製品がほとんどだ。
 ただ、当時の人たちの「全力でやりました」という声が伝わって来る面白い展示であった。