暗殺者が出て殺す! ジョンウィック3 パラベラム (ネタバレあり)

どんな映画?

総評

 ジョン・ウィックシリーズが好きなら、是非みるべし。前作「ジョン・ウィック2」、前々作「ジョン・ウィック」は見ている前提で話が進んでいるので、しっかり予習しましょう。前回までに比べてアクションの感じが大きく変わっており、笑えるシーンも増えています。

あらすじ

 一言で言えば、「世界中の暗殺者から狙われることになったジョン・ウィックが敵を返り討ちにしまくる」です。スッキリしていていいですね。

 前作、ジョン・ウィック2の直後。殺しをしてはいけない聖域「コンチネンタルホテル」内でイタリアマフィアのボスを殺害したことにより「excommunicado(破門)」処分となった伝説の殺し屋ジョン・ウィック


John Wick: Chapter 2 (2017) - Rule Breaker Scene (10/10) | Movieclips

 コンチネンタル・ニューヨークの支配人ウィンストンの好意により、執行まで1時間の猶予を与えられることになりました。

 さて、そんなジョンは犬をホテルに預けて、ニューヨーク公共図書館へ。本の中から金貨と十字架、殺し屋にとって絶対の「血の契約」のメダルを取り出します。

 ところで、この図書館受付の人、ドラマ「ブラックリスト」のミスター・キャプラン役ではないでしょうか。もうニューヨークの人口の半分が殺し屋と聞いても驚きませんよ。

 と、ここに大男が。(当然殺し屋)1400万ドルというジョン・ウィック殺しの賞金欲しさに、ジョンに襲いかかります。巨漢に苦戦しつつ、本でその男を殺すジョン。しかし肩を刺されて、怪我をしてしまいます。


ジョン・ウィックが本で殺し屋と戦う<本・フー>シーンか解禁/映画『ジョン・ウィック:パラベラム』 本編映像

もう、「本・フー」とか「馬・フー」とか宣伝用の〇〇フーガ増えすぎてわけわかりません。ドクター・フーとかもそのうち出てくるんじゃね?

 彼は、闇医者の元へ。しかし治療が半分ぐらい終わったところで、破門の時刻になってしまいました。コンチネンタル関連のサービスは全て受けられなくなり、残りは自力で治療する羽目に。

 街中を逃げるジョンは早速、アジア系の暗殺者に見つかり骨董品店へ逃げ込みます。当然、殺し屋の街、ニューヨークの骨董品店には武器がたくさん。予告編のナイフ投げシーンはここで出てきます。(ワザマエ!)

 一方のコンチネンタルホテルでは、マフィア組織のトップ「主席連合」から、裁定人を名乗る女性がウィンストンの元を訪れます。

 前作のラスト、イタリアンマフィアのボスが主席連合入りした直後に殺されたこと、ウィンストンがそれを止めようとせず、また、その犯人ジョン・ウィックを逃して1時間の猶予を与えたことが問題になったようです。

 かくして、世界中の殺し屋に狙われることになったジョンは逃げ延びられるのか…

感想(とネタバレ付きのあらすじ)

 前作に比べてナイフ系アクションが大幅に増えております。あと、怪しい日本語も盛りだくさん。

 まさか、前作のラスト直後、をやるとは思わなかったです。チャプター2を見た後は流石に前日譚やるんだろうと思ったんですけどね。

 そして、良くも悪くも、続編への繋ぎの一作という感じもします。(当然ジョン・ウィック4があるわけです。)

 そして、これまでに比べて笑える場面も増えています。

一つは序盤のナイフ投げシーン。お互いに格闘し、間合いを図った途端、「あ、そういえば周りに武器いっぱいあんじゃん」と気づいて慌ててナイフを取り出したり。

序盤(本当にこの映画は序盤・中盤・終盤と分けにくい映画だ)

 ジョンはニューヨーク市内の劇場へ。バレエダンサーがいますが刺青が入っていてもうカタギでないことは一目瞭然。裏では格闘技(ロシアの格闘技サンボかな?)を練習しており、ジョンもここにいたらしいです。

 そんなロシア系マフィア「ルスカ・ロマ」の女ボスにジョルダーニと呼ばれるジョン。おそらく、ジョンはここで育てられ、殺し屋としての訓練を受けたのでしょう。ジョンは「チケット」(先ほど図書館で手に入れた十字架)を見せ、モロッコへの船旅を申請します。

中盤(モロッコ編)

 モロッコを訪れると当然暗殺者が、しかし、モロッコ・コンチネンタルの支配人がジョンを殺さないように、という指示を出していたようです。

 モロッコ・コンチネンタルの支配人はソフィア(ハル・ベリー)。ジョンはソフィアと交わした血の契約をみせ、コンチネンタルの前支配人に合わせるように頼みます。

 当然、破門されたので、ジョンは即殺さなければならないわけですが、ソフィアの娘を逃がしてくれた借りがあるとことで助けてもらえます。

 ここ、娘と会うのを諦めてモロッコ・コンチネンタルの支配人として生きているソフィアの存在はのちの、「どんな人間として死ぬか」というテーマに関わっているんですね。

 話し合いに行くだけだし、というジョンに対して話し合いで終わるわけないやん。と武器や犬の準備をするソフィア。

 ジョンは前支配人に主席連合のトップ「首長」の居場所を尋ねます。まあ、得られた情報は砂漠をめっちゃ歩くと向こうから見つけてくれる、というふわっとしたものでしたが…

 対価として、ソフィアの犬を求める前支配人。
「犬はあげられない」→「では殺すか」(あっ…察し)

当然、銃撃戦になります。犬を使ったスピーディーなアクションが見どころ。まあ、なんやかんや首長と会ったジョンは、破門を取り消す代わりにウィンストンを殺し、主席連合に仕える暗殺者として残りの人生を生きることを了承します。


John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) - Escaping Casablanca Scene (4/12) | Movieclips

ソフィア「だってイヌ撃ったし」
ジョン「気持ちはわかる」
私「でしょうね」

中盤(ニューヨーク編)

 一方のニューヨークでは、裁定人が寿司屋を訪れます。

 寿司屋「平家」って… さらに、きゃりーぱみゅぱみゅのニンジャリバンバンも流れていて怪しい日本感MAXです。

 寿司屋の大将ハゲ「ゼロ」はニンジャ軍団のボスでもあります。彼とその手下に仕事を言い渡す裁定人、その内容とは…

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寿司マスターでニンジャ

 殺し屋の殺害でした。ホームレスマフィアを次々を斬り殺し、裁定人はジョンを助けたホームレスマフィアのボス、ボワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)の元を訪れます。前作でジョンにキンバー1911(拳銃)と弾を7発渡したことが問題とされたようです。7発渡したので、ということで7回全身を切られるボワリーキング。
 (正確にいうと、このあたりはモロッコ編と同時平行で語られています)

中盤(ニューヨーク編)

 ウィンストン殺害のためにニューヨークに戻ってきたジョン。早速、殺し屋ニンジャに襲われます。


John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) - Motorcycle Fight Scene (7/12) | Movieclips

コンチネンタル前までやってきたジョンはゼロにとどめを刺されるか、というところでコンチネンタルの執事が殺しをやめさせます。

 ジョンの手が入口の階段に触れているため「コンチネンタル内で殺しをしてはいけない」というルールが適応されたようです。(ちょっと触ってるだけでもいいんだ)

 殺しをやめる二人。

そして、ここが「最大の笑いどころ」です。
ソファに座るジョンと、その隣に間を空けずに座るゼロ。(かわいい)「俺、あんたに会いたかったんだよ!」的なことを言い始めます。

 これまで寡黙な暗殺者キャラだったゼロが急に可愛くなります。笑えます。見て。

終盤(最後の戦闘)

 これまで長く付き合いのあるウィンストン暗殺はしないことにしたジョン。コンチネンタルホテルは「聖域解除」を言い渡され、殺し屋は全員外へ。
 ジョンとウィンストン、執事と、彼のわずかな部下は主席連合の最精鋭部隊との戦闘に望みます。

 ここから先は待ちに待った銃撃アクション、刃物アクションの連続です。中盤、微妙にアクションシーンがない部分があったために大量に武器を用意するシーンからすでに盛り上がれます。

 主席連合の最精鋭部隊の強さとは…

「防御力と火力でゴリ押し」という単純ながら強力なものでした。スーツのおっさんではなく、黒ずくめの特殊部隊仕様。

 9mm拳銃弾を何発受けても平然と反撃してきます。もっとも、ジョンのスーツが銃弾を完璧に防ぐ防弾素材ですから、精鋭部隊も同じようなのを使っているんでしょう。

 武器をより強力なものへ持ち替え、どうにか切り抜け、ゼロとの決着もつけたところでパーレイの申し込みが。

 パーレイってのは一時休戦と協議のこと。パイレーツオブカリビアンでも出てきたあれです。内容を一言でまとめると再び主席連合に忠誠を誓うなら許す、というもの。

 ウィンストンはそれを受け入れ、ジョンに発砲、ジョンは建物から転落してしまいます。(あからさまに目配せしてますが)

 無事、ホテルは聖域に復活。一方、ジョンはホームレスマフィアのボス、ボワリーキングの元へ運ばれます。7回も切りつけられて怒り心頭のキング。独自路線をあゆむ彼にとって、主席連合は明確な敵となったのでした。

感想

 今回のテーマは「どのように死ぬか」

主席連合のトップと会うことに成功したジョンは「主席連合の暗殺者としてウィンストンを殺し、破門を解除される」か「世界中の敵と戦い続けるか」を選ばされます。

 一度、引退を成し遂げたものの殺し屋の世界に「もうやめた」は通用しないのです。残りの人生を主席連合に仕えて殺し屋として死ぬか、妻を愛した男として死ぬかの2択。

 果たして、ジョンは、またウィンストンはどちらを選ぶのでしょう。

 ところで、アクション・映像面では車と酒が減り、ナイフが大幅に増えました。なので、ガンアクション面では前2作の方が楽しめます。

 ナイフ、日本刀? カランビットとナイフ系の武器は充実しています。

また、アクションが繰り広げられる舞台も1作目のレッド・サークルクラブ(プール)や2作目の美術館シーンを意識させるところがあったのも面白かったです。

 水中で急減速し1メートルも飛ばない銃弾の描写は新鮮。(実際、水の抵抗が大きくてほとんど飛ばないそうだが)

 ストーリー面でも少し複雑になったかな? という印象です。これまでのように、殺すべきラスボス(マフィアのトップ)が主席連合という、顔のない組織になっているからだと思います。

 まあ、続編の存在は決定的と思いますので、どうなるか気になりますね。

宇宙旅行はバージン・アトランティックだ!「アド・アストラ」

どんな映画?

総評

 先に総評を書いてしまうと「見る人を選ぶ映画」かもしれません。
インターステラー」とか「ゼロ・グラビティ」的なものを期待して行った人には退屈だったかも。映画館でも終了後、微妙に退屈した系の感想がちらほら。

SF映画」というより、「内面を探索する系映画」だと思いました。

あらすじ

 人類が月で生活し、火星にも基地を作るようになった未来。アメリカ宇宙軍の宇宙飛行士として働くマクブライド少佐(ブラッド・ピット)がアンテナの修理作業に取り組んでいたところ、地球を大規模なサージ電流が襲う。地球では4万人が死傷する大惨事となってしまいました。

 修理作業から生還したマクブライド少佐は、地球外生命体探索計画「リマ計画」のために太陽系の果て海王星に旅立ち、そのまま行方不明になった父親クリフォードマクブライド(トミー・リー・ジョーンズ)が生存している可能性があること、海王星付近にあるリマ計画の宇宙船の反物質がサージ電流の発生源であり、生命滅亡の危機であることを告げられる。

 マクブライド少佐は行方不明になった父親を探すべく火星基地から通信を送る極秘ミッションに参加する…

感想(とネタバレ付きのあらすじ)

 全編にわたって、ある時は心の声、ある時は心理チェックへの回答としてマクブライド少佐の「内面の声」が繰り返されます。

 ヘルメット越しの同僚宇宙飛行士の言葉は聞こえなかったり、「俺に触るな」と(内面で)発言したり、火星への中継点として月に行ったときも商業施設や騒ぐ子供をみて「地球で逃れたかったものがここにある」と行っていたり。とにかく彼は「孤独」を求めているようでした。

 ちなみにそんな彼の評価は「優秀な宇宙飛行士」であると同時に「英雄クリフォードマクブライドの息子」というものです。

 これ、割と繰り返し出てきます。

で、その父親クリフォードもまた、地球を離れ、一生をリマ計画に捧げて地球外生命体探索に執念を燃やします。(演じているのが「宇宙人ジョーンズ」なので、「お前が地球外知的生命体やんけ」と突っ込んだのは私だけ)

 地球から離れ、ついにたった一人、父親と向かって知ったこと、それは「地球外知的生命体は存在しない」、人類は宇宙の孤独であったという事実。

 「不可能を可能にする、死んでも地球外生命を見つけるんだ!」とニーチェの超人思想的に孤独と絶望に立ち向かい、最後は宇宙船も捨てて海王星の果てへ飛び立った父親と、最終的に地球への帰還を果たそうとする息子。

ここからネタバレのあるあらすじです。

地球〜月面

 まずは地球から月面へ。微妙に「2001年宇宙の旅」風な着陸シーンを挟んで、月面裏側の基地から火星を目指します。

 ところで、このシーン。宇宙船や基地の広告にバージン・アトランティックが出てくるんですよ。スペースXではない!(←ここ重要)

 月面は商業施設があり、子供もいて、出張するサラリーマンがいたり、資源地帯を巡って紛争が起きたりしています。

 で、月面ローバーに乗って発射基地へと移動する途上、謎の宇宙海賊に攻撃されます。正直このシーンは謎。予告編でいかにも「アクションシーン!」みたいに出てきますが、特に後半との絡みはないです。

 その後、マクブライド少佐の監視役、行方不明の父親クリフォードの同僚の大佐(おじいちゃん宇宙飛行士)が不整脈で離脱。ここで、クリフォードからの応答がない場合、リマ計画の宇宙船、クリフォードの抹殺を行うべしという極秘情報を知らされます。

月面〜火星

 宇宙船に乗って火星へ。その途中で先ほどの極秘メッセージを見るわけですがこのシーンもなかなか印象的。科学者などの「お仕事」で宇宙に来て、水の球を作って笑っている他の宇宙飛行士との断絶感がしっかりと描かれています。

 地球(妻とか)から離れ、月面から離れ、宇宙軍のお仕事で来ている宇宙飛行士から離れてただ一人。

 終盤に向けて、海王星という太陽系の果て、父親へと近くほど、「周囲の諸々」が減ってゆきます。

火星

 火星表面でメッセージを送る少佐。ここ、なんで火星から生放送でメッセージを送るねん、と気にならないこともないですが…

 メッセージを送った後、返信の有無は知らされず、心理テストに問題が発生した少佐は地球への帰還を命じられます。

 安息室(部屋の内側に自然の風景が投影される部屋安息できるのか…?)でイライラしていたところ、火星基地の司令がやって来ます。

 火星生まれだという彼女はサージ電流が今後も起こることによって死んでしまうのか? ということ、彼女の両親もリマ計画に参加して行方不明になったこと、そして、マクブライト少佐に極秘の情報を見せてくれます。

真相

 クリフォードマクブライト少佐が海王星から送った救援メッセージ。それは、リマ計画の宇宙飛行士数名が心理ストレスに耐えられず地球への帰還を画策。この「リマ計画の反乱」に対して生命維持装置の一部を止め、反乱した宇宙飛行士と巻き込まれた宇宙飛行士が死亡したことを伝えるものでした。

 火星基地司令はリマ計画の宇宙船の破壊とクリフォード抹殺のために核兵器を積んだ宇宙船が発射されること、それに乗り込むための方法があることを少佐に知らせます。

海王星

 海王星行きの宇宙船にハッチをこじ開けて乗り込んだところ、司令部からは少佐を殺せとの命令が。少佐は「敵じゃないんだ」と説得を試みますがうまくいきません。

 SFマニア的にいうと「敵じゃないって言われても勝手に一人増えたら食料や空気が足りなくなるやんけ殺すしかないやん」と思ってしまうんですが…

 とにかく、事故もあって宇宙飛行士は全滅。少佐はただ一人、海王星を目指すことになります。

父親は「地球外生命の探索」に執着して他の乗組員を殺し、また少佐も「父親との対峙」に執着して他の乗組員を殺します。

 地球(妻とか)から離れ、月面から離れ、宇宙軍のお仕事で来ている宇宙飛行士から離れ、他の乗組員を殺して、ついに少佐は一対一で父親と対峙するのです。

 海王星、乗り移るためのカプセル型宇宙船を捨て、リマ計画の宇宙船へ。死亡した宇宙飛行士の死体をどけ、父親と見たモノクロのミュージカル映画が宇宙船の画面に表示されています。

文字通り、父親の内面へと進んでゆく少佐。そこで彼は「地球外知的生命体が観測できなかった」ことを知ります。

無限の彼方には何もない。人類は、孤独な存在だったのです。なんという絶望か!

それでも発見を求める父親クリフォード。最後に彼は息子と自分をつなぐロープを切り離して宇宙の彼方へと飛び去ってゆきました。

孤独を求めることをやめ、誰かと一緒に過ごすことを求め、マクブライト少佐はただ一人、地球へと帰還するのでした。

 

 

【映画・感想】オカダ100%「ザ・ファブル」

どんな映画

 都市伝説、敵を6秒以内に殺す… などの逸話で知られ「ファブル」と呼ばれる最強の殺し屋が、「1年間、誰も殺さずに普通に暮らせ」という命令を受け「サトウアキラ」という偽名を使い、相棒のヨウコとともに大阪へ。ファブルは「プロとして普通に暮らそう」とするが…

感想は? (ネタバレあり)

料亭で明らかにヤクザの会合と思われる食事会が開かれているところに岡田准一演じるファブルが到着し、次々と護衛、ヤクザのボスを殺害するところから映画がスタートする。

敵を壊滅させたのち、「ボス」(佐藤浩市)から「1年間、誰も殺さずに普通に暮らせ」という命令を受けたファブルは、相棒のヨウコと兄妹という設定で大阪に引っ越し、普通の暮らしを送ろうとしますが…

感想

ファブルが壁を登るシーンがカッコ良かったです。アクションシーン自体は、ジョン・ウィックのような「最新の実戦的な戦闘技術」というよりもスローを使ったり、細かくカメラが動く感じのアクションシーン。

ファブルが敵の武装や距離を把握する描写や「プロの普通」を徹底すべくチンピラにわざとやられるシーンも面白かった。

全体的な作りはシリアスなアクション物というよりもコミカルな感じでした。

あと、ファブルは寝る時に全裸なのですが、自身の脚や車のミラーでうまいこと「オカダ100%」になってます。ここも必見。

どうして「誰も殺さずに1年間過ごす」の?

最強の暗殺者がなぜ「誰も殺さずに普通に暮らす」という命令を受けるのでしょう?

海外に逃亡しろ、とか、潜伏しろではなく「普通に暮らす」さらに「誰も殺さずに」

これが本作最大の謎であるように思ったわけです。

ただし、本作、終盤まで見終わってもなぜ「「1年間、誰も殺さずに普通に暮らす」必要があるのか、いまいちわかりません。

冒頭では「殺しをやりすぎた」・「普通に暮らすことが暗殺の修行」的な理由が語られます。

終盤、ボスが絵の才能があったが言葉が喋れず、言葉を教えると絵の才能が消えていったサヴァン症候群の少女のたとえ話をします。そして、ファブルが一年間普通に暮らした後も殺しの才能が衰えないならば、ボス自らがファブルを殺すつもりであったと、その心中を明かしますが…

特にボスがファブルを暗殺者として育てたことが回想シーンなどで明かされるために「自分で育てといてなぜ殺す?」となってしまいました。

「誰も殺さずに普通に暮らす」理由こそ、作中最大の謎であったように感じたので、見終わった後も「?」が浮かんでしまいました。

まあ、原作コミック自体が現在完結していないようで、ボスがファブルを育てた理由などが不明なようです。映画オリジナルの結末を出してもよかったかも?

 

 

 

 

【感想・ネタバレ】移動都市/モータルエンジン

-暗い荒れ模様の春の午後。ロンドンは小さな岩塩採掘都市を追いかけて、旧北海の日上がった海底を疾走していた。-

 

どんな映画?

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60分戦争で世界が荒廃したの後の地球、キャタピラや車輪の上に乗った都市が他の都市を喰う「都市ダーウィニズムの時代」、巨大移動都市ロンドンに一人の暗殺者が忍び込む…

 フィリップリーブ原作のSFファンタジー小説「移動都市」を実写映画化。ロードオブザリングなどで有名なピータージャクソンが脚本・製作、とのことです。ロードオブザリングやファンタジー系作品で名前をよく聞くピータージャクソン製作、とのことで大規模公開されるのかと思いきや、意外と公開館数が少なくてびっくり。

登場人物は?

トム・ナッツワッシー:ナッツワッシー君はロンドン史学ギルドの下級見習い。飛行船を操縦できます。演じるのはロバート・シーハン。(私と同じ左利きです。)原作では美少女とアウトランドを冒険する妄想をします。親近感が持てますね!

ヘスター・ショウ:顔に傷のある少女。シュライクに育てられ、ヴァレンタイン暗殺を目的にロンドンに忍び込みます。演じるヘラ・ヒルマーは日本公開作がなくあまり情報がありません。

アナ・ファン:赤い飛行船ジェニ・ハニヴァーを操ります。サングラスや服装がマトリックスみたい。

シュライク:60分戦争後の戦乱期に死体から復活した兵士「ストーカー」の最後の生き残り。ターミネーター的なやつです。ヘスターの育て親でありながら、彼女を殺すために追いかけてきます。演じるのは映画「アバター」の大佐役で有名になったスティーブンラング

ヴァレンタイン:元スカヴェンジャーで現在はロンドン史学ギルド長に出世します。

キャサリン:ヴァレンタインの娘。ロンドンの上流階級の美少女です。可愛い。可愛いだけでなく行動力もあります。

ヴェビス・ポッド:下層階級のエンジニア。ダストシュートに落ちるところに遭遇したことからキャサリンに接近することに…

ストーリー解説

都市は動く! いいね?

https://www.syfy.com/sites/syfy/files/styles/1200x680/public/2018/12/mortalenginescities.jpg

Universalの地球が60分戦争仕様になっています。と同時に60分戦争で地球は荒廃、古代人が移動する都市を作ると語られます。
ハリーポッターが魔法を使えるように、都市は動く! いいね?
都市が動く意味なくね? とかは言わないことです。原作でも戦争後は地震や火山、津波などが多発して都市ごと移動する意味がそれなりにあったけど、もう動く意味なんてない、とあっさり言われています。
ロンドン襲来とともにバラけて逃げようとする都市たち。ここ、屋台まで折りたたみ式になって収納されるのが笑えます。んで、結局、ヘスターの乗る都市はロンドンに捕まるわけです。

大英博物館の下級見習いトムは美人を案内してウッキウキになっています。ここで、60分戦争で使われた超兵器「メデューサ」について紹介されます。ロンドンが都市を捕食したため、それを解体する「ガット」に行くよう命令されるトム。そこで彼は憧れのヴァレンタインに遭遇。彼の暗殺を試みるヘスターを捕まえようとします。その時、ヘスターのヴェールがずれて、顔の傷があらわに… 彼女はダストシュートに落下、一方のトムは追いついたヴァレンタインに突き落とされてしまいます。

ネタバレと批評

設定や映像は良し。ただ、原作の魅力が少なくなりすぎている。

移動する都市、という英国面とんでも設定が魅力的です。様々な形の移動する都市のビジュアルやロンドンの細部、キャタピラ跡の残るアウトランド、飛行船や「盾の壁」要塞の映像はとても良いですね。ただし、原作からの改変要素がちょっと問題です。

問題点1:善・悪をはっきり分けてのストーリー整理

 原作はロンドンが「悪」で反移動都市側が「善」という対立にはなっていません。ロンドンですら、さらに巨大な移動都市パンツァー・シュタット・バイロイトの前では食われる存在です。燃料切れで停止した巨大都市が他の弱小都市群に襲われるなど、移動する都市も「動かないと死ぬ」的状況にあることがわかります。
 登場人物に関しても、ヘスターは冷酷で自己中心的な暗殺者かつ頭の回転が早い少女、ヴァレンタインは超兵器をロンドンに持ち込んだ一方、娘思いで、彼女の言葉をから自分の行いを後悔していたりします。トムも憧れのヴァレンタイン像とヘスターの語る冷酷なヴァレンタイン像の間で揺れ動き、反移動都市を守るため、とは言え、故郷であるロンドン爆撃作戦には強烈に反対しています。(第一彼は反移動都市同盟に対して野蛮な考え、という意見を持っています。)原作はロンドンと超兵器メデューサを中心とした群像劇的で、映画にまとめるにはストーリーの整理が必要ですが、その時に原作の人間が持つ2面性、をも整理してしまったのはとても残念です。

問題点2:へスターが普通に可愛い

https://assets.change.org/photos/6/mf/ov/yAmFovehubtTEul-800x450-noPad.jpg?1513790556

 これ、映画の予告編公開時点で色々と話題になっていました。画像はインターネットのキャンペーンサイトからです。原作版ではかなりひどい傷である描写がなされています。ヘスターのスカーフが外れて、初めて顔全体が見える場面。「ああ、なんとひどい傷!」と観客に感じさせないといけない場面なのに、そうなってません。中盤、奴隷市場で売られそうになる場面がありますが、ヘスターの前に老婆が売られ、続いてへスター。「見た目は悪いのでお安く…」みたいに紹介されますが、さっきの老婆に比べれば全然美人だよ!

問題点3:アクションシーンを増やしたために流れに問題ができた

https://static3.srcdn.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/Hester-and-Tom-in-Mortal-Engines.jpg

 まず、最初のガット内部の追いかけシーン。なんでトムがドリルやチェーンソーの間をくぐり抜けて、命がけでヘスターを追いかけるのか、がわかりません。
 原作でもガット内を逃げていますが、あくまでも通路の上を逃げています。だからこそ、トムの冒険ができる(多分、ヴァレンタインの娘にモテるきっかけになる)! 美少女暗殺者を追いかけてる! という本当にしょうもないきっかけの追跡劇が成立するわけです。

 続いて、先ほども紹介した奴隷市場のシーン。映画ではヘスターを高額で買い取ろうとするアナファン、懸賞金目当ての奴隷商人とアナのアクションがあって、その後二人が逃げるという流れです。孤児だから助けた、とのことですが、なんでヘスターに目をつけたの? ってなりません?
 原作では奴隷市場で売られる、とわかった二人が都市の壁を蹴破って逃げ出し、逃げる途中でアナに出会う、という流れです。こっちの方が自然だし、この場面はヘスターちゃんの貴重なデレシーンなんです。(大声)

 全体のアクションシーンは増えていますが、そのせいで流れに無理がある、というかなんというか…

問題点4:メデューサ描写と結末

 まず、超兵器メデューサの威力が超兵器に見えません、60分戦争時にメデューサが都市を一撃で破壊する映像を冒頭で見せられるので尚更です。あと、原作では「なんかすごい古代兵器を復活したらしい」ぐらいの情報なんですが、映画ではメデューサについて詳しいトムがいます。空中艦隊はもっと分散しろ!
 
原作の通り、パンツァー・シュタット・バイロイトを出して、ロンドンが生き延びるための必死の逆転兵器としての側面があることを示しながら一撃で全てを破壊する超兵器描写をすればいいのです。
 続いて結末のところ。完璧に「ファントム・メナス」です。エンジンみたいに大事なものを格納庫におくな! 実はこのエンジン描写は原作準拠ですが、原作は違う方法でロンドンが停止するので原作ではあまり気になりません。
 ロンドン停止後の反移動都市側がとる行動も「そうなるか?」感が多いです。
敵とは言え、人を殺してしまった。という罪悪感や故郷を破壊しなければならない苦悩などトムの共感できる部分が大きく減っています。

そのほかにも、元が群像劇的であったところを微妙に入れるせいで、シュライクとヘスターの複雑な関係やキャサリンとヴェビスの活躍などが描写し切れていません。

まとめると…

 動く都市を見るなら素晴らしいです。もう一度みる? と言われれば見るかも。
 原作を読め!

 

 

【映画・感想】アメリカン・スナイパーと「ネイビーシールズ最強の狙撃手」

人を殺すのもそれが職業になればそのやり方に創意工夫を凝らすようになる。戦闘では、できるだけ強力な武器を投入したくなる。また、敵を倒す新しくて独創的な方法を、あれこれ考えるようになる。「拳銃で殺してなかったか? それじゃあいっぺんやってみるか」

どんな映画、本?

 アメリカ軍史上最多の160人という狙撃記録を持ち、敵からはラマディの悪魔、として恐れられたスナイパー、クリス・カイルは、戦場では特殊部隊兵士であり、アメリカに帰れば子供と妻を持つ父親でもあった…
 アメリカ軍特殊部隊の狙撃手クリス・カイルの自伝「ネイビーシールズ最強の狙撃手」を基にした戦争映画。

映画、本の内容、みどころ

 映画に関しては、狙撃兵としての狙撃、海兵隊とともに屋内への突入、オリンピック出場経験のある的狙撃手「ムスタファ」との対決、敵に囲まれた状態からの脱出など、戦争映画としての見所は多い。そして、戦場で殺害数を重ねて「伝説野郎」とあだ名される一方、アメリカに帰国した後も戦闘時の記憶がフラッシュバックする、謎の高血圧に悩まされる、妻のタヤに「心は戦場から帰ってきていない」と言われるなど、家庭に帰った後も戦場でのストレスに悩まされる姿を描いている。
 一方の自伝「ネイビーシールズ最強の狙撃手」(以下「最強の狙撃手」)では、本人の戦場での体験を中心にしており、家庭に関する描写はあまり多くない。読み手としては、戦場にいる時の方が生き生きしているような感じすら受けるが、そうでなければ特殊部隊の隊員は務まらないのだろう。映画の冒頭で手榴弾を投げようとした子供と母親を狙撃する場面があるが、「最強の狙撃手」ではこの母子を含めて自分が殺害した敵については、「そうしなければ味方が殺されていた」、「殺害について後悔したことはない、神の前でもその理由を説明できる」と書いている。映画ではこのあたりの心理をうまく描けているか、というと少し微妙な感じはする。もっとも、ビーチボールに掴まって川を渡ろうとする敵のビーチボールを撃ち抜いていき、敵が残りのボールを奪いあう様子を見て「楽しかった」というシーンなんか、映像化したら問題になりそう。(笑)
 これらの戦場を楽しんでいるかのような描写を強調すれば、クリス・カイルはそれこそ本当の「悪魔」として描かれてしまうだろうし、本人も「戦場に行ったことがなければ人の死や戦場で見たことについて冗談を言ったり、笑ったりするのは理解できないだろう」と書いている。戦場と家庭を行き来する兵士の姿に重点を置いた映画と、自身が体験した戦闘について、自身の考えや感情をありのままに書いた自伝、両方を読み、見ることをお勧めする。

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【感想】ジョン・ウィック チャプター2

どんな映画?

 マトリックスなどで有名なキアヌ・リーブスが伝説の殺し屋「ジョン・ウィック」を演じて大ヒットしたアクション映画「ジョン・ウィック」の続編。

映画の内容

 逃げるバイクとそれを追うジョンの車。冒頭からのカーチェイスの末、バイクの男を殺したジョンは、カードキーを奪い取り、前作「ジョン・ウィック」で彼の愛車を奪い、亡き妻からもらった子犬を殺したロシアンマフィアのヨセフ・タラソフのおじのアジトへと奪われた愛車を取り戻しに向かう。
 次々とマフィアを殺し、愛車を奪い返した彼だが、カーチェイスの末、車はボロボロになっていた。彼は車を闇自動車修理工のオーレリオに修理を頼む。
 そして、彼は平穏な生活に戻るべく、銃やスーツを地下室の床下の箱に入れ、封印する。
 そんな彼の元に、イタリアマフィア「カモッラ」のボス、サンティーノが訪れる。
 彼はジョンとサンティーノがかつて交わした血の契約を果たすべく、不可能と言われる暗殺を依頼する。しかし、平穏な生活を望むジョンはその依頼を拒否、サンティーノはグレネードランチャーで彼の家に放火し破壊する。家、そして、妻との思い出を破壊されたジョンは、サンティーノの依頼したサンティーノの姉の殺害、そして、サンティーノへの復讐を決意する。

 感想

 前作から引き続いての無駄のないアクションとかっこいいカーチェイスシーンが魅力的。ストーリーは何かへ収束していく、というより「殺しが殺しを産む」、というように次から次へと組織や人物が出てきては死んでいくような感じで、先が見えない。綺麗な結末のあるストーリーというより、むちゃくちゃに話が広がっていく感じだけれど、何かを解決する手段として、殺し、しか方法を知らないのだからしょうがないよねぇ…
 作中では「無敵ガジェット」的な感じで防弾スーツが登場する。これのおかげで、少しぐらいの被弾を物ともせず敵を撃ちまくるスピィーディーなアクションが生まれているけれど、逆に「どうせたまに当たっても死なないんでしょ」と思ってしまうのが少し残念だったかも。

【感想・ネタバレ】ドント・ブリーズ

どんな映画?

 空き巣を繰り返すロッキー、アレックス、マニーの若者3人組がイラク戦争退役軍人の家に強盗に入る。相手は盲目の元軍人、強盗はすぐに終わるはずだったのだが…
 驚異的な聴力と戦闘力を持つ軍人から逃げたければ息をする音すら消さなければならない…


映画 『ドント・ブリーズ』 予告

映画の内容

 細かく書くので長くなります。簡単に言えば、空き巣の若者vs盲目の殺人マシーン、みたいな感じです(笑)

序盤:退役軍人宅への侵入まで

 空き巣を繰り返すロッキー、アレックス、マニーの3人組。彼らはセキュリティ企業経営者の息子であるアレックスの手を借りて空き巣を繰り返していた。
 そんなある日、彼らはイラク戦争の退役軍人が莫大な金を持っていることを知る。デトロイトで暮らす両親と決別し、ロサンゼルスへ引っ越そうと計画しているロッキーはアレックス、マニーとともに退役軍人の家に侵入し、金を奪う計画を立てる。退役軍人は資産家の娘が起こした交通事故で自らの娘を失い、その賠償金として多額の現金を手にしていたのだ。
 午前2時、3人組は薬で犬を眠らせてから、退役軍人の家に侵入する。軍人は用心のために扉に鍵をたくさん取り付け、窓に鉄格子をはめ、猛犬を飼うなどしていたが、イラク戦争で負傷した退役軍人は目が見えない、寝ている間に侵入し金を奪うぐらい楽勝だ、と3人は考えていた。

中盤:退役軍人が目を覚まし、追われることになる3人組

 退役軍人の寝室で睡眠ガスを発生させたマニーは、廊下の明かりをつけるなど、大胆な行動に出る。もともとあまり乗り気でなかったアレックスは盲目の元軍人から、彼が失った娘の賠償金として得た金を盗むことに嫌気がさし、先に帰ってしまう。一方、金が隠してありそうな頑丈な鍵のかかった扉を見つけたマニーはそれを開けるために持っていた銃で鍵を撃つ、とその時、寝室の扉が開き、そこには盲目の退役軍人が立っていた。薬で眠らせたはずの軍人が目を覚ましていることに驚いたが、相手の目が見えないこと、銃を持っていることに自信を持ったマニーだったが、相手は盲目ながら凄まじい力でマニーから銃を奪い、彼に突きつける。「何人組だ」と聞く退役軍人に、「一人だ、見逃してくれ」と頼むマニーだったが、退役軍人は彼を射殺する。彼は盲目であるため、同じ部屋のクローゼットの中に隠れはロッキーの存在には気づかなかった。その後、マニーの死体を運んだ退役軍人は家中の扉や窓を施錠し、金のありかであるクローゼットの中の金庫を確かめる。先に帰ろうとしたアレックスだったが、銃声を聞き家の中に戻る。廊下で軍人とすれ違うアレックスだったが相手は盲目であるため彼に気付かない。
 この時、退役軍人は、開いていた扉の下にアレックスとロッキーの靴が置いてあるのを見つけ、他に侵入者がいることを知ってしまった。窓や扉を施錠され、家の中に閉じ込められたロッキーとアレックスは、地下室の扉から外に出るため、地下へと向かう。
 倉庫のような地下室の一角に明かりがつくと、そこには若い女が囚われていた。女は、古びた新聞記事を見せる。それは、交通事故を起こした女が無罪になった、という記事。彼女は交通事故で軍人の娘の命を奪った資産家の娘だったのだ。警察に通報しようとするアレックスと、通報すれば手に入れた金を失うためそれに反対するロッキー。鍵束を見つけた二人は資産家の娘の手錠を外し、地下室の扉を開けるが、そこには退役軍人がマニーの拳銃を持って立っていた。彼は銃を撃ち、その弾は資産家の娘を殺す。地下室から逃げ、一階の玄関の鍵を開けることにした二人。一方、退役軍人は地下室の電源を落とす。アレックスとロッキーにとっては暗闇の地下室だが、家の構造を把握し、驚異的な聴力を持つ盲目の退役軍人にとって、地下室が暗闇であることは何の障害にもならない。少しでも物音を立てれば、退役軍人はその音の方向に正確に銃を撃つ。アレックスを地下室の棚ごしに掴み、銃を撃とうとする退役軍人だったが、銃は弾がなくなり撃てない。アレックスは首を絞められるが、棚が倒れ、そこから逃げ出す。
 どうにか地下室を出る二人だったが、一階の廊下には薬で眠らせたはずの犬がいた。犬に追われ、二階へ逃げる二人は子供部屋に入り、タンスで扉を塞ぐ。だが軍人はタンスで塞がれた扉に体当たりし、押し開けようとする。ロッキーは天井の通気口へと逃げるが、アレックスは退役軍人によって二階から投げ落とされる。アレックスは一階の天窓の上に落ち気を失う。退役軍人は寝室のベット下から自らの拳銃を手に取り、アレックスを撃つ。一階に落下したアレックスは退役軍人との格闘になり、軍人はアレックスをハサミで刺し殺す。

終盤:退役軍人が資産家の娘を監禁していた理由を話す場面から 

退役軍人は通気口から外へ出ようとしたロッキーを捕まえ、拘束する。目を覚ましたロッキーに対して、退役軍人は、父と娘の絆などわかる訳がない、他人の命を奪ったとしても金の力で無罪になれる人がいる不公平を語る。
 退役軍人は、失われた自らの娘の代わりに、資産家の娘に自らの子供を産ませようとしていた。しかし、資産家の娘は銃で撃たれて死んでしまっている。彼は、自らの子供をロッキーに産ませようとしていたのだ。レイプをする目的はない、と話す退役軍人は、冷凍保存しておいた精液をスポイトにとって、ロッキーの子宮に入れようとするが、そこにハサミで殺されたかに思われたアレックスがハンマーを持って、軍人を襲撃する。ハサミはマニーの死体に刺さっていたのだ。間一髪のところでアレックスに助けられたロッキーだが、アレックスは銃で撃たれて死亡、家の外に逃げ出したロッキーも再び退役軍人によって家に連れ戻されてしまう。アレックスが持っていた警報装置のリモコンで警察を呼び、大音量のサイレンで混乱した退役軍人を金属棒で殴り、その場を逃げ出すロッキー。
 後日、妹とともにカリフォルニアへ行く列車に乗るため駅にいるロッキーは、イラク戦争の退役軍人宅に強盗が入った、というニュースを聞く。強盗は二人組、退役軍人は病院に運ばれ無事と報道され、自分について触れられていない、と知ったロッキーは列車に乗る。

映画の感想

映画の作りについて

 音楽や効果音などない中、ひたすら息を殺して盲目の退役軍人をやり過ごす恐怖、かくれんぼで見つかるかもしれないドキドキ感みたいな感覚を期待していた私からすればその辺は期待ハズレだった。
 ホラー映画やスリラー映画の盛り上げ方、については詳しくないのだが、全体的に恐怖を煽る音響(?)が多用されていたり、主人公側も結構物音を立てながら動いていて、予告編で廊下をすれ違うシーンのような、迫り来る相手を必死にやり過ごす、というような「ステルスホラー」というか、何も動きのないことの恐怖、があまり感じられなかった。もちろん、見つからないように息を殺すシーンもあるし、そういったシーンでこれまでの音響がなくなることで沈黙が強調される、というのはあったけど、全体としてもう少し静かな感じを期待していた。一方が見つかりそうになった時に、もう一人がわざと音を出して注意を逸らすとか、声で意思疎通できない感じとか、目は見えないけれど異常に発達した聴力を持つ、いわば「世界の認識方法が違う相手」との対決、については物足りなかったかも。

盲目の退役軍人vs3人組

 これは良かった。軍人は盲目なのだけれど家の構造を頭に入れて少しの物音にも反応して銃を撃ち、明かりを消して自らに有利な状況を作り、さらに猛犬とのコンビで相手を追い詰めて行く。
 退役軍人役は映画アバターで悪役のボス、クオリッチ大佐を演じた人物で筋肉マッチョのかっこいいおっさん(本当にそうなんだぞ)だ。
 個人的に退役軍人側に肩入れして映画を見ていたのもあって、ロッキーに逃げられてしまうラストは予想していなかった。
 だって強盗に入ったのそっちじゃん? みたいな。
 最後まで金に執着するとか、警察に通報するけど自分は金を持ってその場から逃走するとか、主人公の行動と心理がイマイチ理解できなかったせいもあるけど、軽率な自分たちの行動を心底悔いながら絶望のうちに死ぬとか、捕らえられたままでいるようなエンディングが欲しかったなぁ。
 ホラー映画だから、最後はそんなバッドエンドが来て後味悪く終わるに違いないんだと思ってた。

総評など

 盲目だけど凄まじい聴覚を持ち、しかも高い戦闘能力を持った老人、という魅力溢れる設定が良い。退役軍人役のスティーブン・ラングもかっこいいし、悪役が正体不明の快楽殺人者や祟りや呪いでないところも面白い。
 ただ、その設定を活かしきれなかった感じがある。全編通して結構喋ってるし。一歩一歩近づいてくる相手に対して息を潜めてやり過ごすとか、仲間を助けるためにあえて音を出して退役軍人を引きつけるけど、そのせいで自分が危うくなるとか、そんなシーンが欲しかった。
 目は見えないけど高い聴力を持つ、逆に言えば、どれだけ近づかれても音さえ立てなければ大丈夫、という緊張感が欲しかった。
 

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